数年前から札幌市のヒグマ目撃情報が手稲区より西区以西の市街地付近に増えているのは、新幹線トンネル工事と無関係では絶対にないと思う。(写真はスクショ、元は以下のURLより)
https://www.city.sapporo.jp/kurashi/animal/choju/kuma/syutsubotsu/nishi/
ごく最近では札幌市西区というところに目撃情報があり、検証の結果、民家のさくらんぼの木にヒグマの爪痕が残されていたのを見つけたとのこと。我が家もヒグマの棲む山と隣接しており、庭にはベリーや果菜類が植っている。他人事ではない。昨年秋には丘を一つ越えたすぐ向こう側の林道に糞が落ちていた。数年前には手稲山中腹の車道沿いでパートナーがコクワを採るのに木に登っていたらどこからか聞いたことのないような車のエンジン音のような音が繰り返ししてきて怖くなって逃げてきたことがある。ヒグマの威嚇だったのではないかと思う。要するにすぐ側にヒグマはいつもいるのだけど、これまで滅多に出会わなかったのは彼らがテリトリーをわきまえて暮らしてくれていたからであり、近年の目撃が増えていることの複合的な原因を探り我々の行動を変えていくことが緊急に必要であることは言うまでもない。
原因は複合的であるから短絡的に言うことはできないが、冒頭に書いたように北海道新幹線のトンネル工事が影響している可能性は非常に大きいと私は思う。工事のために森は大きく切り開かれ、毎日聞いたことのない発破音が地中から響く。棲み慣れた森を追われて別の場所に移動するのは当たり前である。これで人身事故などが起こったら責任は人間の暮らしのあり方にあると言えるはずなのだが。
近年ヒグマのニュースは毎日と言って良いほど更新されていて中には遭遇した際にこちらに向かって突進してくるような様子が映された動画などがあり、ヒグマがまるで凶悪な猛獣のように扱われているものも散見するが、私はそのようなものを見るたびにヒグマの生死をかけた必死さが伝わってくるようで胸が締め付けられる思いがする。もちろんそのような現場に自分が居合わせたとしたら恐怖しかないので悪戯にヒグマの攻撃心を煽る形で出会うことは絶対に避けたい。
ヒグマの習性をできる限り知ること
会わないこと
「餌付け」をしないこと
「人間の側」の問題であること
人が踏み入ってはならない場所を明確に設けること
どこでも踏み行って開発しない
分をわきまえること
人間が暮らす世界が大きいと思っているのは幻想で実際はとても小さく、ほんの隅っこに住まわせてもらっているに過ぎない。
お互いがお互いを脅かさず穏やかで豊かな暮らしの実現を心から願う。
ヒグマについては過去に2度ほどblogを書いている。
参考文献はこちら
『ベア・アタックス〜クマはなぜ人を襲うか』 https://outback.cup.com/BearAttacks.html
『ヒグマ大全』門崎允昭著 北海道新聞社 2020年
『星野道夫永遠のまなざし』 小坂洋右 大山卓悠 共著 山と溪谷社 2006年