着物まわりのご相談やご質問をいただくことがたまにあります。私は帯地を織っていますから、着物のことを普通より少しは知っているだろうと思われてのことだと思います。確かにその通りかもしれませんが、ただ私の知っていることは私が知っていることのみで、知らないことは知りません。なので、申し訳ないのですがあまりお役に立たないことがほとんどですが、考えていることは多少あります。今回は、ご親戚やご家族が所持していた古い着物の処分のご相談に対する私の考えについての話です。
古い着物の処分のご相談を受けた際、一口に「着物」と言っても、素材や状態などによって何が最善かが違いますので、現物を見てみないとなんとも言えないということもあります。だからと言って、そうした相談があるたびに一々出かけて見せていただくなどの対応は申し訳ないのですができません。織るのにはものすごく時間がかかるので、その他の時間のかかることに対応している暇が、正直ないのです。なのでお役に立てないことがほとんどです。
少し余談ですが、こうしたことは他の多くのことにも言えることで、たとえば私のパートナーは大工ですが、大工だから木の取り扱いには慣れていて何でもチョイチョイと簡単に作ってくれるかと思っていたら大間違いでした。大工は大工、家具や道具類を作るのとは技術が違い道具も違い、そう簡単にはいかない、かえって時間がかかるのだと教わりました。暮らし周りの小物等は、やはり餅は餅屋、専門の方に頼むのが近道と知りました。
とはいえ、私も親戚の遺した大量の着物などをどうしようかと過去に悩んだり失敗したりした経験がいくらかあります。状態の良いものや良い布のもの、自分にとって魅力的なものは良いのです。しかし申し訳ないがそうではないもの、自分では着ないなと思うものをどうするか。そうした経験の中で学んだことは、着物を衣服として捉えずに「布」の備蓄として捉えることができれば最も良いのではないかということでした。たとえばご家族やご親戚から大量に着物を譲り受けた場合、それらの布を布の備蓄として使うことができれば、もしかすると一生着るものには困らないかもしれません。縮んでも惜しくないものであれば、ご自宅で水洗いしてみても良いと思います。縮緬や絹の柔らかいもの、お召しなどですと、かなり縮むと思いますが、縮んだまま布として使うことはいくらでも可能です。あるいは、濡れた状態で伸ばして乾燥させると割と元に戻ります。「張り木」という道具が役に立ちます。
この場合、「ご家族やご親戚」あるいはもう少し広げて「親しい間柄だった方」の着物、というのが重要です。全然知らない人の着物を大量に譲り受けたとして、それを備蓄として長い間所持するには、その「布自体」に余程の魅力がない限りは、もしくは余程の布不足で明日着るものに困るような場合でない限りは、不可能だと思います。なんの思い入れもないものを、ずっと所持するのは心情から言って難しいからです。しかし深い縁のある方の布であれば話は別です。その布には「その方」の記憶が刻まれている。できるだけ最後まで使い切ってあげたいという気持ちが湧いてきます。そもそも、「布」とは、そういうものだとも思います。
こうした思想的なことではなく、もっと現実的で具体的なことを知りたい場合は、今やchatGPTに聞いてみるのが良いのではないかと思います。だいたいを網羅して答えてくれると思います。
試しに聞いてみた回答が以下です。
着物をゴミに出さずに手放す方法はいくつかあります。価値のあるものを有効活用しながら、必要とする人の手に渡る方法を選びましょう。
1. リサイクルショップ・古着屋に売る
・着物専門のリサイクルショップ(例:たんす屋、きもの青木、浪漫屋など)
・一般のリサイクルショップ(セカンドストリート、大黒屋など)
・古布・アンティーク着物を扱う店舗
→ シミや傷があっても、素材としての価値を評価してもらえることがあります。
2. ネットで販売する
・メルカリ・ヤフオク・ラクマ
→ 着物や帯は意外と需要があり、特にアンティークや珍しい柄は人気があります。
・着物専門の買取業者に査定を依頼する
→ 宅配買取も可能。例:「着物10」や「福ちゃん」など。
3. 寄付・譲渡する
地域の文化団体・劇団・学校
→ 舞台衣装や文化活動に活用されることも。
海外支援団体(日本の着物を海外の文化交流に活用する団体あり)
友人・知人・着物愛好家に譲る
着物リメイク作家やハンドメイド作家に提供する
→ バッグや洋服に仕立て直す人にとっては貴重な素材になります。
4. 素材として再利用
裂織やパッチワーク、ハンドメイド用の布素材として活用
布を活かしたリフォーム(帯地をバッグやインテリア小物に)
工芸作家や染織作家に相談する
お香や匂い袋にする(着物を細かく裂いて活用)
5.自治体やNPOの回収活動を利用
一部の自治体やNPOでは、着物を活用したリサイクル活動を行っています。
例:「きものバンク」や「着物リサイクルプロジェクト」など。
もし、特に価値のある着物や帯が含まれているなら、まずは専門家に査定してもらうのも良いですね。どの方法が気になりましたか?
中にある「浪漫屋」というのは、札幌市手稲区にある店舗の名前ですが、こうしたローカルなことまで拾うようになってきたのですね。また、「工芸作家や染織作家に相談する」ですが、これはたとえば裂き織りをしている作家さんや、着物の染め替えなどをお願いできる悉皆屋さんなどが考えられるでしょうか。パッと見た感じ、中にはちょっと違う固有名詞が入っているようにも感じますが、AIである以上想定内です。それに一つ一つはそう目新しいものでもなく、言われればそのくらいは知ってるよ、と言われそうです。しかしそうした細かいことよりも、大まかに全体を見通せること、こういう選択肢があると自分目線ではなく他人目線で俯瞰できることに意義があります。
いずれにしても、すぐにどうこうしようとしてしまうと、後で後悔する羽目になることも考えられます。しばらくは手元に置いておいて、一つずつ、じっくり吟味することを、私は自分の経験から、お勧めします。