「marmeleiro」 葛布八寸帯地 (仕上げ前)
やっと織り上がり、機から下ろす。
この写真の部分は、経緯とも、我が家の庭のマルメレイロ色。お太鼓内側に配置しましたが、合わせるお着物の色のトーンや気分によって、リバーシブルでお使いいただける想定です。
2024年初夏、花後、実をつける前に剪定した枝葉で染めた。実はもちろん、樹皮も剥くとみるみる幹が赤くなるほど酸が強いので、もしやと思って染液をしばらく放置したら案の定真っ赤になったので、充分赤くしてから染めてみた。染まった葛苧の色味としては赤麻で染めた時に近いが、赤麻は1年ほど経つと赤が抜けて茶色くなるのに対し、マルメロはほとんど褪色・変色しないようだ。(因みに絹はどちらも褪色・変色はほとんどしない。)
ここに移り住んだ記念に苗木を植えた我が家のシンボルツリー、樹齢は12〜3年ほどになるのだろうか。蕾の濃いピンク、花びらの片側だけのグラデーション、酸味の強い大きな実、葉の柄の赤、僅かに赤味がかるスベスベの重い幹、冬になって雪が積もってもいつまでも落葉しない(なぜ?)。特に秋に収穫する実は大変良い香りがして、煮詰めると美味しいジャムになる。その生き様はどの季節も楽しく興味深く、毎年具に観察してきた。
しかしどんどん伸びて、どうしたら良いのか分からず手入れをしていなかったら、元々斜めの土地である上に南に向かって伸びたがるために全体に偏りが出て、積雪の重みや実の重みでとうとう根本から斜めってしまった。樹高も4メートル以上。放っておいたら倒れそうだったので、昨秋、これ以上斜めらないように樹高を下げ、実も収穫しやすく、かつできるだけ長生きしてもらうために、庭師にレクチャー受けながら思い切って自分でかなりの強剪定をした。春に元気に芽吹いてくれる事を祈って。
ところでマルメロは実の名前で、マルメロの木のことは正確にはマルメレイロというのだそうだ。響きにニュアンスがあっていい感じだ。
経 絹座繰り糸(群馬県 ぐんま200)
緯 葛手績み糸(北海道 手稲の葛)
2025.8月〜9月開催の個展にて展示いたします。全体の様子や柄行等はその際にご覧頂けたらと思います。個展終了後にはwebサイトにも主な写真を掲載する予定です。