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Site icon image雪草乃記-Ⅲ

Sessou-no-ki : Sessou’s Blog | 染織家・葛布帯作家 雪草のブログ

一つ紋訪問着+葛布八寸帯

はじめに申し上げますが、着物の世界の伝統的なことについてはもちろん尊重したいと思います。しかしそれらを尊重しすぎるあまりに、一生着る機会がないのではと思われる着物が箪笥に眠っているのも残念です。今回は、そんな着物を葛布の帯と合わせて着てみた話です。

写真の着物は、パートナーのお母様から譲り受けたものです。もとはお祖母様のものでした。色柄が素敵で私好みです。ぜひ着たいのですが、箔が施され背には紋が付いている訪問着なので、晴れの場、それも相当限られた場所でしか着ることができないと思われました。私には一生着る機会がないのでは、このまま手元に置いておいても無駄になってしまうのか、といって手放す気持ちにはなれません。いつも気になっていました。

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全体を撮るのが難しくて部分の写真です

試しに羽織ってみるとわーッと気持ちが高まります。着るだけなのに気持ちが高まる。着物の力です。

眠らせておくくらいなら、思い切って着ようと思いました。2025年の初詣を良い機会に選び、そのままパートナーのご実家へ新年のご挨拶に伺いました。お母様には大変喜んでいただけて、とても嬉しかったです。

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その時の装いです。帯は葛布の八寸帯、大幅なドレスダウンに合わせて、帯締めや帯揚げも少しカジュアルな趣のあるものにしました。一見、チグハグになりそうなものを大らかにまとめ繋いでくれる葛布帯の存在、そのバイタリティーに、改めて感動しました。(関連記事→「訪問着+葛布八寸帯」)

さてこの時、「とにかくこの訪問着をお正月に着る」ことが目標でしたので、初めは着物の格に合わせて帯も控えめに金の入ったちょっとカジュアルな袋帯に、そして帯締めや帯揚げも少しフォーマル寄りなものにしようと思っていました。帯は自分で気に入って買ったものですがこちらも全然使っていなかったので久しぶりに締めてみたかった。しかし実際につけてみると、全体にかなりの重厚感が出て、何かの式典や結婚式に出席する雰囲気になってしまいます。当たり前と言えば当たり前のことでした。

そこで手に取ったのがやはりいつもの葛布の帯でした。締めてみると、慣れているせいもありますが、とてもしっくりと体に馴染み、違和感がなく、晴れやかな訪問着の晴れ晴れしさはそのままに、だけれども、車に乗って移動したり、帽子や手袋などの防寒アイテムとの相性や、雪の中をブーツで歩くことを考えても、全く違和感がなく、全体の収まりがとても良いように思えました。

葛布の帯の高い汎用性と広い可能性を私は強く感じます。

いかがでしょうか。

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