2025個展「transcribe-転写-」で展示した中の一つ、六寸帯地「山椒」は、生育旺盛のため剪定した枝葉と、雪解け後に折れてしまった枝に茂る枝葉で染めた糸を使い、山椒の様子を私なりに文様に変換した。
折れても葉を茂らせる生命力たるや。それに成長のスピードがものすごく早い。枝が折れて大きく削れたようになった幹は、その年の冬までにはほぼ塞がった。
とはいえ、幼木時代にはキアゲハがこれでもかというくらいに卵を産みつけるので、以前は葉が全部食べられてしまい木が育たなくて困ったのだけど、ここ数年は産み付けられた卵の数に比べて圧倒的に芋虫が少なく木も落ち着いてきた。どうもシジュウカラなどの鳥が芋虫を食べに来ているらしい。大いなる自然の摂理とバランス。
春の若葉と夏の青い実は適度に収穫して有り難く頂く。秋になると真っ赤な実が弾けて中から真っ黒の硬いタネが出てくる。いわゆる「粉山椒」はこの赤い部分を擦って粉にしたものらしいが、スリコギでやってみても上手くいかなくて諦めてしまった。
タネは割と発芽率高め。
※写真は数年に渡り季節をまたいで撮影したものです。